慢性腎不全になってしまった猫のために、少しでもできることをしたい!
そう思うあなたは、素晴らしい!
こんにちは、羽山香苗です🎀
猫が少しでも楽に心地よく暮らせるようにしたいですよね!
慢性腎不全の猫にこれから手作りごはんをあげたい方、あげようと考えている方へいくつか注意点をご紹介します。
*2018年11月の記事を加筆・修正して再アップ。
手作りごはんに理解のある獣医は少ない
なんの問題もなかったら
飼い主さんが手作りごはんをあげようが、なにあげようが獣医には関係ないじゃないですか。
でも、慢性腎不全になると病院へ行く回数がぐっと多くなりますよね。
もちろん程度にもよるけど。
定期的に輸液に行くような状態なら、1週間に1回とか結構な回数行く。
治療のこととか検査数値の増減とか獣医といろいろ話し合うことも多いです。
そんな中で、手作りごはんにするならある程度病気のことも勉強して、獣医とうまくやっていくのが必要になります。
基本自分で積極的に勉強していない人でない限り、獣医さんは猫の詳しい栄養学なんて知りません。
本当にまじで知りませんから!
血液検査の検査数値の標準値ってフードを食べている子前提なんです。
手作りごはんにすると、フードより単純にタンパク質量が多いので
検査数値でBUNが上がります。
これを飼い主さんが知らずに、手作りごはんに変えて検査したら
とかなって、余計なことをされることもある。
まあ、輸液頻度や輸液量を増やすくらいしかないと思うけど。
そう、だからやっぱり腎不全の猫に手作りごはんをあげるなら、ある程度知識は学んだ方がいい。
低タンパク神話は気にしなくて大丈夫
慢性腎不全には「低タンパク」という定説があります。
腎臓病の処方食もほとんどのものが低タンパクをうたっているのでは?
私は10年くらい前から重度から軽度の慢性腎不全の猫の食事管理をしたことがありますが、低タンパクなんて気にしたことがない。
気にしなくても、むしろ症状や数値が改善した経験もあり。
さきほど出てきたし、慢性腎不全の検査では必ず出てくるBUNが関係します。
BUNとは血液中の「尿素窒素」のこと。
尿素とは、タンパク質の最終代謝産物。
簡単にいうと残りカス。タンパク質を摂取すると必ず産生される。
タンパク質をとると、代謝しないといけない。
だから、
「腎臓の負担を減らすために、摂取するタンパク質を減らしましょう」
というのが低タンパク神話の元の論理。
タンパク質の摂取量をへらせば、そりゃBUNは下がります。
でも、BUNが下がったからといって良くなっているわけではない。
慢性腎不全において大切なのは、クレアチニンです。
クレアチニンが下がったら、いい傾向って思える。
みんなね、「タンパク質を過剰に摂取したら腎臓に負担がかかるので、タンパク質をへらしましょう」って言うけど、
タンパク質は、肉食動物の猫にとって生命線。
単純にタンパク質量だけをへらしていいわけがない。
穀類など質の悪いタンパク質がメインだったら、
タンパク質が不足して免疫力が下がる可能性もあります。
もちろん、高すぎるBUNのために食欲不振や吐き気があるなら、
ある程度BUNを下げるために少し制限するのはいいと思います。
タンパク質を気にするなら、量より質。
タンパク質は量より質
「タンパク質は量より質」とは、「アミノ酸スコア」が関係しています。
グリコHP「アミノ酸スコアとは。スコアが高い食品はどれ?」より引用
この図のように、必須アミノ酸は1つでも不足していると、その少ないアミノ酸に合わせた量しか作られません。
それ以外は全部排泄されるのか、一部排泄されるのかは調査不足でまだわかりませんが。
でも、足りなかった分が排泄されることに変わりはない。
ってことは、腎臓の負担になりますよね?
腎臓病の処方食のドライフードなんて、原材料の一番最初がポテトとか米粉。
卵や肉っていうのは、だいたいアミノ酸スコアが高いのでいいけど、
ジャガイモとか米とかはアミノ酸スコアが低いから、代謝産物である窒素が残りやすい。
腎臓の負担を軽減する、っていう意味でタンパク質をへらすなら、
アミノ酸スコアの高い肉や卵でやらないと意味はない。
魚油は絶対にあげた方がいい
猫の慢性腎不全において、魚油は絶対にあげた方がいい。
DHA、EPAです。
「オメガ3の油が慢性腎不全に有効で、亜麻仁油とかエゴマ油をあげましょう」って書いているサイトもあるけど、猫には絶対に魚油!🐟
慢性腎不全に効果があるのは、DHA、EPAであって、亜麻仁油とかだとα-リノレン酸なので変換しないけといけない。
猫はこの変換酵素が少ないって言われてます。

この記事の脂質の項目でも少し書いています。
腎臓は、最も血流量が多い臓器。
魚油は、血管を拡張し、血行を良くするので効果的。
また、腎臓が悪くなると高血圧になりやすいのですが、魚油は血圧を下げる効果もある。
魚油をあげるなら、
「クリルオイル」がおすすめ。
500mgでも1000mgでもどっちでもいいから、
腎不全なら絶対あげる、私なら。
汚染も少ない上に、クリルオイルには抗酸化作用のあるアスタキサンチンが含まれている。
アスタキサンチンが含まれているおかげで、酸化もしにくい。
間違っても、まぐろから作られた油はあげない方がいい。
まぐろは大型魚で、食物連鎖のトップにいる魚。
海の生物の中で一番汚染されているといっても過言ではない。
また、魚油を含むフードはやめた方がいいです。
DHA、EPAは熱に弱く、酸化しやすい。
酸化した魚油なんてとらない方がまし。
さいごに
慢性腎不全において食事管理はとても有効です。
できる範囲からぜひやってみてください。